3年前から計画しては悪天で中止となっていた黄蓮谷遡行。
今年は早い秋雨前線の出現に戸惑いつつも決行となりました。
黒戸尾根登山口に車を停め6:45出発。
神社手前から日向山への登山道を登る。
尾白川林道は再生工事中(↑)で途中までは非常に歩きやすい。
工事末端からは道の面影は薄くほぼ登山道。
もう何年も車は通っていないであろうトンネルを3本抜けると間もなく林道終点
9:30林道終点の広場に到着。
そこからロープの張られた急な斜面を下り入渓地点へ
ここで沢装備を装着し10:20遡行開始
今回は、リーダーは五丈沢出合まで遡行経験があるが、他5名と上半分は全員初めて。
スタート直後の3mナメ滝 水は美しい緑色。
水量もリーダーが遡行した時よりも大分少ない模様。
快適に遡行していく。
2段10m滝は左岸から高巻き。
高巻き道には大体ロープが張られており非常にわかりやすい。
12:25 噴水滝は水量が少なく噴水は上がっていなかった…
その上の3m滝、6m滝を右岸から高巻き
美しく長いナメを遡行
13:40 尾白川本谷を右に分け、左の流れに入ると8m滝がある。
持参した遡行図には「怖いトラバース」とあり、滝ギリギリの巻道を攻めるが、
明らかに踏み跡が少ないし危ない。
さらに上を高巻く強い踏み跡を辿ることで、怖い思いをすることなく沢に戻ることができた。
千丈ノ滝は右岸から巻き、本日の目的地五丈沢出合上のビバーク地に15:00着
樹林の高台でとても快適。テント設営後に少し雨が降った。
明日の天気が気になるところ。
二日目は5:40に出発。東の空は明るいが、上部は雲に覆われている。
スタート直後の坊主滝(↑)の高巻きでいきなりつまずく…。
多くの薄い踏み跡が交錯しており登りすぎてしまう。沢への下降地点が見つからない。
しばらく戻ると剝がれかけの赤テープを発見。
ほぼ踏み跡の無い斜面を下るとトラロープが垂れ下がっていた。
これを見つけるのはかなり難しいと思われる。おそらく他に下降地点があるのだろう。
ここから雨が本格的に降ってきた。
人数も多いので時間はかかるが安全第一で積極的にフィックスロープを張っていく。
7:40に左俣との分岐を通過し3段15m滝は一段登った場所から水流の左側を登る。
そして9:15 いよいよ奥千丈ノ滝。このあたりで雨が弱くなり一安心。
下半分100mは樋丈の水流の中を登る。それほど難しくは無いが冷たく寒い。
2ピッチロープを張ったが、残置のハーケンがわかり難く、カムで支点を取って固定した。
後ろを振り返ればはるか下まで流れ落ちている、が、とても美しい。
上部200mはスラブ登り&草付き登り。
最後のバンド左上トラバースは最後だけロープを張った。
落ち口へ降りる残置スリングは気持ちが悪く、
バンドを最奥まで歩いて突き当りの立ち木を伝って沢へ降りた。
多段20m&15m滝を登ると幕営適地に到着。テント1張分のスペース。
ここで、難関の烏帽子沢からの高巻き。
ネットの記録を調べると、烏帽子沢へ入ってから高巻く記録と、
幕営適地から2400m地点まで登って大高巻きする記録がある。
今回は時間も押していたことと、次に現れるはずの3段10m滝がどれなのか判断できず、
後者の幕営適地から右岸を登る踏み跡を辿った。
お天気は回復し日も差すようになったが、踏み跡は徐々に薄くなる。
どれが烏帽子沢なのかもいまいちわからず、とりあえずリーダー判断で2400m地点まで登る。
本流ははるか彼方に逸れてしまったように見えるのだが…。
2400m地点まで上がると明瞭トラバース道(踏み跡)が現れた。(おそらく獣道)
その踏み跡を上流方向へ進むと(多分)烏帽子沢源頭を横切り、すんなり本流へ出た。
飛び出した場所は雪渓が残る本流20m滝上部のビバーク適地。
結果よければすべてよし。無事本流に戻ることができた。
この時点で14:00。
さて、2張テントが張れそうな場所はここがラスト。
ビバーク覚悟で進むべきか、ここまでにしておくか…。しばし相談。
まだ体力も十分にあることからビバーク覚悟で明るい間は前進することを選択。
あわよくば頂上まで抜けてしまえ!! …と
しかし、初見の黄蓮谷はそんなに甘くはなかった。
次の20m滝の右岸高巻きで苦戦。
遡行図に「ロープを使用してクラック沿いを登る」とあるが、その場所がわからない。
一旦、滝下部まで降りて見上げると、なるほど右岸上部の壁沿いを登るしかなさそう。
ということでクラックの残置ハーケンを拾いながら濡れ&苔でツルツルのスラブに
ロープを張って何とか突破。ここが一番怖かった。
ちなみに、一日目はラバーソールが活躍したが、二日目はフェルトの方がよく止まった。
そして16:00 奥ノ滝3段60mの下部にようやく到着。
ここで一張分の平場を見つける。
近くのごつごつの岩場を整地すれば何とかもう一張いけそうなので今日はここまで。
少量だが水も流れており快適に過ごせそう。
天気は回復したが気温はグングン下がる。
流木を集めて暖をとろうと試みるが昼間の雨でなかなか火勢は強くならない。
陽も暮れて北杜市の夜景が輝く頃になりようやく暖かくなる。
夜も冷え込み、テントビバークの判断は正解だった。
最終日、前日に偵察しておいた巻道を伝い奥ノ滝3段60mとその上部の岸壁を巻く。
が、踏み跡を追いかけているうちになんとなく登りすぎている気が…
かといって、沢に降りる踏み跡もなかったし…
そうこうしているうちに正面の岩に進路を塞がれ、沢側は岸壁で降りられない。
しばらく皆で道探し。そして見つけたのが這松を50mほど漕いで沢へ戻る踏み跡。
這松の中の踏み跡は明瞭だがその前は薄い。
出た場所は最後の20m滝の上部。結局全部巻いてしまった。
それでも、沢に出た時は歓声があがるくらいみな喜んだ。
天気は雲海&快晴。
ここまで抜ければあとは青空に向かってひたすら歩くのみ。
水流の消えた沢をひたすら詰めて、
薄い踏み跡を忠実に辿る。
左手には黒戸尾根を行く登山者の姿も見えてきた。
やっとホッとできた瞬間だった。
最後のひと頑張り
8:40 とびだした場所は頂上と社との鞍部。北沢峠からの道との合流点だった。
苦労しただけにこの登頂の感激はひとしお。握手で健闘を称えた。
あとは長い黒戸尾根の下山だけ。
6人力を合わせての遡行はすばらしい達成感・充実感を与えてくれた。